歯科漢方・口腔漢方とは
歯科漢方・口腔漢方とは、東洋医学の伝統的な治療法である漢方薬を用いて、口腔や歯に関連する症状や疾患を改善するアプローチです。 通常の歯科治療では、虫歯や歯周病、口内炎などに対して外科的な治療や投薬が行われますが、漢方では全身のバランスを整えることを重視し、症状そのものだけでなく体全体の調和を目指して治療を行います。 特に、痛みや炎症が慢性的に続く場合や、ストレスが原因で歯や口腔にトラブルが生じている場合、漢方治療が有効な選択肢となることが多いです。
歯科漢方・口腔漢方では、個々の体質や症状に合わせて漢方薬が処方されます。例えば、歯肉の炎症や腫れがある場合には、炎症を鎮める「清熱薬」が使用されることが多いです。 また、口内炎や口臭が気になる場合には、胃の働きを整える「清胃散」などが用いられることもあります。 さらに、歯ぎしりや緊張による顎関節症など、精神的なストレスが関与している症状には、リラックス効果のある「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などが処方されることがあります。 このように、漢方薬は単なる症状緩和だけでなく、根本的な体調改善を目指す点が特徴です。
なぜ歯科漢方が良いのか?
歯科漢方のもう一つの大きな利点は、副作用が少ないことです。多くの漢方薬は、長期間の服用が可能であり、慢性の口腔トラブルに対しても安心して使用できます。 また、漢方薬は天然由来の成分を使用しているため、特定の化学薬品に対するアレルギーを持つ方でも比較的安全に使用できることが多いです。 ただし、漢方薬も一種の薬であるため、自己判断での使用は避け、専門の医師の指導を受けることが大切です。
さらに、漢方治療は予防にも優れた効果を発揮します。体のバランスを整えることで、口腔内の健康維持や疾患の再発予防につながります。 例えば、歯周病は全身の健康と密接に関わっており、糖尿病や心臓病との関連も指摘されています。漢方薬を用いた体質改善により、歯周病の進行を食い止めるだけでなく、全身の健康にも良い影響を与えることが期待されます。
嶋本歯科医院で
処方している漢方薬
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):口内炎
- 五苓散(ごれいさん):口渇(口腔乾燥症)
- 白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう):口渇(口腔乾燥症)
- 立効散(りっこうさん):歯痛、抜歯後の疼痛
- 排膿散乃湯(はいのうさんきゅうとう):歯齦炎、歯槽膿漏、歯周病
- 葛根湯(かっこんとう):顎関節症、帯状疱疹後の神経痛、三叉神経痛、舌痛症
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):病後の体力補強
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):病後の体力低下(抜歯後疼痛、抗がん剤、放射線治ケア)
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):急激に起こる筋肉の痙攣を伴う疼痛、筋肉痛、関節痛(顎関節症、開口障害)
- 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう):神経痛
当院では、患者様一人ひとりの体質や症状に応じたオーダーメイドの漢方治療を提供しています。 通常の歯科治療と併用することで、症状の緩和だけでなく、根本的な健康改善を目指すことが可能です。歯や口腔のトラブルでお悩みの方は、ぜひ一度、歯科漢方・口腔漢方の治療をお試しください。